耳慣れない、謎のクレープの日。それは2月2日です。
このクレープの日はフランスで「Chandeleur シャンドゥル—ル」と言われており、クリスマスから続く一連の宗教的な祭日なんですよね。
私が以前から、フランスの祭日&祝日にまつわる表面的な解説には疑問を感じる性格で、「Chandeleur シャンドゥル—ル」についても色々深く掘り下げて、
- なぜ2月2日なの?
- 本当の「Chandeleur シャンドゥル—ル」の由来は?
を、調べてみました。
すると、1つは宗教的な意味で、もう一つは🙄ハテ?…と、正直よくわからない奇妙な話で、ものすごく興味をそそりました。さらに、妙にアクロバティックな芸当必要な習慣もあり、どこからその謎が深まるばかり!
実はその起源はいくつもあり、時代や地域によって多くの伝説があったのですが、その中でも代表的な2つ理由を、エンタメ的な視点でご紹介します。
そして私が住んでいるフランスでの「クレープの日」では実際祝い方をしているかを、現地からシェアしたいと思います。
では、これから一緒に見ていきましょう。
クレープの日はいつ?一般的な情報
クレープの日は、毎年2月2日です。
2月2日はキリスト教の祝日で、その名も「Chandeleur:シャンドゥルール」。この祝日は固定されていて毎年2月2日と決まっているんですよ。
※カタカナで強引に書くと、シャンドゥフ—の方が近いです。
ただ、日は変わりませんが、曜日だけ変わります。
ちなみに「La Chandeleur」とはフランス語で「ろうそくの饗宴(燭台祭)」。
そうなんですよ、「クレープの日: Journée du crêpe(←直訳)」ではないんですよね(笑)
2月のカレンダー↓を、実際にご覧下さい。
2月2日にcrêpe(クレープ)という文字は、書かれていませんよね。私はフランスに来て間もない頃「クレープって書いてないじゃん!!」と思いました。
その「Chandeleur 燭台祭」にクレープを食べるのですが、
そもそもなんで2月2日?
なぜろうそくとクレープに関連する逸話が、大きく2つありました。
私自身もなぜクレープなのか🤔?と、疑問だったので、次に調べた内容を詳しくご紹介します。
なぜ「Chandeleur 燭台祭」は2月2日なのか!?
今日のフランスではもはやクレープを食べる日化してしまっている 😅、キリスト教の祝日2月2日の「Chandeleur シャンドゥルール」。
なぜ2月2日という日なのか?そして、なぜこの日にクレープを食べるのか?その理由は、大きく分けて2つありました。
- カトリックの祝日の裏にある、元祖から引き継がれた「祈り」
- 謎の迷信
怪しいと思っていましたが、やはり元祖はカトリック教ではありませんでした。結構、この手の元ネタがカトリック教以前の話というのが、フランス(と言うかヨーロッパ)の行事が多いんですよ。
2つ目の謎の迷信ですが、これはほんとによくわかりません🙄。
わからなさ過ぎて、異国人の私から見たら「小麦粉屋の売り上げ目的のキャンペーン?」と思ってしまった話だったのですが、まずは宗教的な意味の裏話からお伝えします。
元祖から引き継がれた「豊作の祈り」
実は元々は、この祝日は異教徒のお祭り(fête païenne)でした。
祭りの目的は自然の豊穣をよみがえらせること=太陽の回帰を祝うでした。
で、その一環として、クレープを食べました。丸い形と金色は、太陽と光への回帰を表現して、
太陽のシンボル=豊かな収穫=クレープ(太陽をイメージした大きな丸)
という連想ゲームのような発想になるのは、たやすいでしょう。
ちなみに、ケルト人も2月1日にインボルク(Imbolc)という冬の終わりの浄化と豊穣を祝う行事を行っています。
彼らも季節の循環を感じ、春の到来の賛辞をしていました。
と、このように豊作を願う祭りでしたが、教皇ゲラシウス1世(492〜496)が、異教徒の祭りを廃止して、キリスト教の祭りであるイエスの神殿への奉献祭にしました。
教皇ゲラシウス1世(Gélase Ier)です↓
そして、今日の「Chandeleur 燭台祭」になりました。
※もう一つの有名な説が、Les luperques(オオカミ)の伝説で、RomulusとRémusの2人の兄弟が、少女に妊娠させるための儀式😱!?で、豊穣(=妊娠)の神であり、狼(羊飼いが嫌う動物)から身を守る神FaunusとLupercusオオカミを称えるという話もあります。ヒ~!?
異教徒の祭りから変換された「御清めの儀式の日」
今日の2月2日の「Chandeleur 燭台祭」の意味は、Noël(クリスマス=キリストの誕生日🤞🙄🤞)の40日後に、神殿に赤ん坊のイエスが献上された日です。
そして、この日が聖母マリアが清められたことを記念する日「御清めの儀式の日 la fête de la Purification」となりました。
この祝日は、聖母を称える最も古い典礼祭の一つであり、4世紀にはエルサレムで祝われていたことから、おそらく最も古い祝祭であるともいえる祭り、と言われています。
当時、ユダヤ教のしきたりでは、長男は生まれてから40日以内に神殿に納めなければならないことになっていたのが、クリスマスから40日後の2月2日(現Chandeleur)という日付の理由です。
※40日かというと、40という数字は聖書の中にめちゃくちゃ登場する、信仰の数字なんですよね。
数字にまつわる話は、詳しくこちらに書いています。
https://monpetitcahier.com/archives/21071.html/
「Chandeleur シャンドゥルール」ですが、この日に伝統的に使われる「ろうそく🕯」に由来して、教会では松明の代わりにろうそくを使って列をなして祝福し、光や清らかさ、魔除けの意味を込めて灯されていたそうです。
信者はそのろうそく🕯1つを持ち帰り、2月2日に窓辺に飾ることが多かったとのこと。
で、クレープとの関連性ですが、2つありました。
- ローマ教皇ゲラシウスは、ローマに到着した巡礼者たちにパンケーキを配って慰めた説
- 丸い黄金色の形から、太陽の円盤を連想させ、「光」を祝う伝統
正直私には、このキリスト教の伝説とクレープの強引なこじつけに首をかしげてしまいました。
このお祭りは家族みんなが集まって、子供と大人の楽しいひとときを過ごす良い機会♪と、いかにも良い話にすり替えられている所に、ものすごい違和感を覚えませんか?私だけ?
ともかく、キリスト教では、クリスマス、エピファニーに続いて、2月2日の「Chandeleur シャンドゥルール」が降誕祭(救世主キリストが生まれた、ワーイ \(^o^)/のワッショイ祭り)のサイクルを締めくくります。
では次に、ワケワカメの謎の伝説です。
謎の小麦が腐る!?説
もう一つの「クレープを焼かないと、小麦が腐る(病気になる)」という説がありました。
実は「Chandeleur シャンドゥルール」の日にパンケーキを焼かないと、その年の小麦が腐る(病気になる)もしくは、翌年の小麦が不作になるという、遠い神話に基づいている話です。
さらにクレープを焼く際には、金貨使った習慣(Les louis d’or de la Chandeleur)を尊重しなければならなかったそうです。実は、その説も色々あるのですが…
その一つは、左手に金貨を持ちながら、右手で最初の一枚目のクレープをひっくり返す習慣です。これが出来ると、一年間の金運が保証されるというような、金銭信仰につながる伝統的なものでした。
地面に落としたり、しわくちゃの布のような形で受け止めたりせず、クレープを上手くフライパン上でひっくり返すことが出来ると、次のChandeleurまで幸せでいられるそうです。
そんな幸せってナニ?と、正直思ってしまいました。
この下の動画の女性は、派手に失敗したのできっと不幸だったでしょう。ですが、みんなに笑いを振りまいたので、大したことなかったはずです。
現在では、このようにクレープの伝統は守られています。
それにしても、クレ-プを太陽と見立てる所が、イマジネーション豊だというか、食いしん坊!!と思いませんか?
こんなお祝いでしたら、喜んでお祝いしたくなりますよね。
現地フランスでのクレ-プの日の祝い方
この「Chandeleur シャンドゥルール」の日にフランスでは、甘い小麦粉のクレ-プを食べます。
日本ではホイップクリームたっぷりの、ふわふわのクレープが一般的だと思いますが、フランスではそれより若干固い生地で、砂糖を振りかけたり、ジャム、ヌテラ、チョコレートソースetcを塗って食べるのが一般的な家庭での食べ方です。
ヌテラも、この時期めちゃくちゃ売れていますよ。
ですが、私はリゴーニディアシアゴ(Rigoni di Asiago)社の「ノチオラタNocciolata sans lait」が好き!
このヘーゼルナッツチョコレートスプレッド(ビター)は、乳製品、パームオイル不使用、トランス脂肪酸ゼロなので身体に👍
「Chandeleur シャンドゥルール」は2月2日といっても、祝日ではありません。
週末にならない年もあるので、平日では家の4時のおやつがクレープになるパターンです。って週末もですが😅平日は各々ポツネン…と食べますが、週末なら家族揃って大勢で食べるパターンが多いという感じです。
こんなちっちゃいクレープ焼き器も売っています。
保育園や幼稚園などでは、園内のおやつがクレープになり、小学生以上は家でクレープを食べるノリというか、「Chandeleur シャンドゥルール」にこだわって、皆この日に必ずクレープを食べうのか?と問われると、そこまでしていなさそうです。
私が思うにその理由の一つは、ガレットデロワよりも、「Chandeleur シャンドゥルール」のクレープはあまり話題に上がらないからです。
ガレットデロワはパン屋やパティスリーで買うことも多く「どこそこのガレットデロワは美味しかったよ!」という話は結構するんですけど、クレープにはあまりバリエーションもありません(乗せる具だけの違い)。
1月6日の「エピファニー」で食べるガレットは、一月中売っている店が多くなりました。
さらにクレープは家で簡単に焼けますし2月2日の「Chandeleur シャンドゥルール」以外の日でも食べますしね。
大人は忙しいので、特に外で一日中働いている人々は、わざわざこの日に律儀にクレープを食べる人は少ないでしょう。
各々家でクレープを焼くの?
焼く人も居れば、市販のを買って食べる人もいます。
市販は手軽ですし、ストック出来ますしね。
ちなみに私は家で焼いており、家で焼くメリットは、熱々のクレープに好きなだけバターとジャムを乗せて食べる事が出来る事です。
この「Chandeleur シャンドゥルール」をより楽しむ為に、私はクレープ用のフライパンまで買ってしまいました!
鉄製なので、一生モノです。既にかなり年季入っていますが。
これを購入する前に普通のフライパンでも試したのですが、やっぱり縁に高さがあると焼きにくかったんですよね🥴
で、毎年焼くしなあ…と、結局クレープ用を買ってしまいましたが、我が行為に悔いなし!!
このメイドインフランスのデバイヤー、毎年いい仕事してくれ、超優秀です。
番外編:丸い食べ物はクレープとガレットがあるけど…
クレープに似た丸い食べ物に「ガレット」がありますが、ご存じでしょうか?
「Chandeleur シャンドゥルール」にはクレープを食べるのであって「ガレット」ではないの?
ハテ🙄?その違いは、粉、味?と、私も自分で調べるまでサッパリ理解していませんでした😅
最後にクレープの日についてのまとめ
クレープの日は2月2日で「Chandeleur シャンドゥルール」というカトリック教のお祝いの為の日にまつわります。
本来の「Chandeleur シャンドゥルール」意味は「ろうそくの饗宴(燭台祭)」で、神殿に赤ん坊のイエスが献上された日。
この日が聖母マリアが清められたことを記念する日でもあります。
この日にクレープを食べるのは、このカトリック教の話以前に、異教徒の祭りが元になっており、クレープを太陽とみなして、豊穣の祈りの為に食べたのが由来の一つです。
食べ物は人間の生死に関わることなので、当時はとても重要な行事だったのでは…と思いを馳せました。
私も普段は、あまり宗教や歴史背景を考えずに2月2日はおやつがクレ-プ!というベタな認識で過ごしていましたが、調べてみると案の定、色々な伝説があって面白かったです。
現在では1月下旬からクレープの日様に、クレープ用のフライパンやヌテラやジャムのキャンペーンを開催!
12月はクリスマス、1月はガレットデロワ、2月はクレープ、3月は年によっては復活祭!?と、スリムで美しい体型を保つには、なかなか厳しいフランスの行事が続きますが、2月上旬にフランスにお越しの際は、是非美味しいクレ-プを召し上がってくださいネ!
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