先日、日本に帰った時に発見したお菓子のパッケージに書かれてあった「ロレーヌ岩塩入り」。
ロレーヌ在住の私は「ええ!?日本で🤯わが地方の塩が使われている!?」と驚きました。
「ロレーヌ岩塩」とは、私の住んでいる地方名「Lorraineロレーヌ地方」から採れる岩塩なんですよね。しかしながら情報も少ないので、恐らく日本で知られていない様子😢。
そこで私が地元代表として情報をシェアしなければ!と謎の使命感にて、この記事を書くことにしました。
- ロレーヌ岩塩の古代まで遡る歴史とは!?
- ロレーヌ岩塩の味と特徴は?
- ロレーヌ岩塩を使ったおススメ料理
と、基本的な情報からお伝えしますね。
料理好き、もしくは食いしん坊のあなたは、きっときになる調味料だったはず。最近ちょこちょこ知られるようになった「ロレーヌ岩塩」にはどんな背景があるのでしょうか?
そして、最後に「ロレーヌ岩塩」を使ったおススメ料理をご紹介しますね。
では、これから一緒に見ていきましょう。
http://www.patrimoine-minier.fr
https://www.chapelle-marimont-bourdonnay.org/
ロレーヌ産岩塩とは?古代まで遡る長い歴史
👆地元のカルフールで買った「ロレーヌ岩塩」。
ロレーヌ岩塩とは、フランスの北東部ロレーヌ地方にある鉱床で採れる岩塩の事です。
ゲランドの塩は海田から出来るのですが、一方ロレーヌ岩塩は地層の中で形成される塩なんですよね。
そのせいか色は真っ白で綺麗!ゲランドの塩は灰色がかってていますが、その理由はこちらに書きました。
岩塩は、海塩が塩田(沈殿池)で採取されるのとは対照的に、地下からしか採掘されません⛰️。そのため独特の特性を持っています。ロレーヌ岩塩のは主に2つの方法で採掘され、坑道と回転式の支柱を用いた地下採鉱法です。(鉱床により採炭機と爆薬も使います。)
と、お伝えした所で想像するのは難しいかもしれません。
丁度、新聞紙「Le Républicain Lorraine版」のYouTubeチャンネルで、ロレーヌ地方のVarangevilleヴァランジュヴィル岩塩坑の映像がありましたのでご紹介しますね👇
鉱床なので当たり前ですけど、日も照らないこんな薄暗い地下で作業しているんだ😱!?と衝撃でした。私には無理…。
しかし、なぜフランス広しと言えども、なぜロレーヌ地方で岩塩が採れるのでしょうか?
なぜフランスのロレーヌ地方に岩塩が出来たのか?
先ほどの動画のVarangevilleヴァランジュヴィル岩塩坑はここ👆
このロレーヌ地方は言わずとしれた、超田舎の森🌳ばかり…基、豊かな自然の中に岩塩の鉱床があるのですが、そんな山の中になぜ鉱床があるのか!?と疑問を抱くのも当然です。私もスーパーでこの岩塩の存在を知るまでわかりませんでしたが、その疑問にお答えします。
「ロレーヌ岩塩」は天然塩なので、もちろん海の侵入からです🌊。しかしロレーヌ地方はバリバリ内陸。一体どうして🙄!?と不思議に思いますが、実は約2億5190万年前から約6600万年前の遥か大昔の中生代には、実はロレーヌ地方が浅い海で覆われていたんですよ。
それはともかく、👇の青い部分が海でした(テチス海と呼ばれる )。
こっちの方がわかりやすいかも👇 Tethys SEAと書かれている水平線上は海ですよね?
このように、ヨーロッパは「テチス海 」と呼ばれる浅い海で覆われていました🌍。その後、「ゲルマン海」と呼ばれる海が出現し、亜熱帯気候の影響下(ムシェルカルク期とカイパー期は乾燥しやすい気候だった)で海水🌊の堆積と結晶化が促進されたんですよね。
Muschelkalkムッシェルカルク=貝殻石灰岩
とも言われます。
海水が蒸発するにつれて、海水中の塩分濃度がどんどん高くなり、そうなると塩分濃度が飽和に達すると、塩が結晶として海底に堆積し始めるのですが、それが繰り返されると厚い塩の層が形成されていくんですよ!
これが岩石🏔️が出来るしくみなのですが、こうやってロレーヌ地方の塩の鉱床が出来上がったのでした。
資源は天からの恵みで大変有難いものなんですけれど、その反面バトルも付き物。
中世からは、一層塩の争奪戦があったようです。
<h3>塩の取引とその大きな権力
「ロレーヌ岩塩」の歴史にまつわる文献を色々読んでみると、もれなく資源の奪い合い😔
人間の性なのか、昔からあんまり変わっていません。
さて、古代から中世に進むと、ローマの道路が塩の道をたどるようになりました。そのお陰で塩の取引も活発化し、北はMetzメッスやドイツのTrèvesトリア、南はナンシーから右下のLangresラングレ、東はSaverneサヴェヌや Dononドノンを経由してStrasbourgストラスブールへ、塩は運ばれていきました。
当然塩の取引もバリバリ行っており、当時は塩田は個人または領主のために個人が経営していたのです。そして9世紀以降、修道院が多くの塩田を管理するようになり、塩の生産はもはや権力と多額の収入のためのよう。
塩は天然の産物なのに😤!!
と、この話はどの辺で起こったかというと、丁度ロレーヌ地方とザーブリュッケン寄りのドイツの国境の出来事でした👇。
中世でもロレーヌ塩田は、中世からフランス東部において重要な塩の供給源。塩は、食料の保存や加工に不可欠なだけでなく、当時の経済活動においても重要な役割を果たしていて、その生産地は多くの権力者にとって魅力的な存在だったのでした。
塩は高価な商品。塩税は王室にとっても重要な財源🤑そう、ドル箱だったのです。そんな感じでロレーヌ塩田は、フランス王国の財政を支える重要な役割を果たしました。
そして、もっと大規模な採掘が始まったのは、19世紀に入ってからなんです。
その理由は、普仏戦争によりこの地域はドイツ領になったからです。
大規模な塩ブームが起り、今日まで続く塩産業の礎となる
1871年普仏戦争後、フランスは戦争に敗れ、Moselleモーゼル県およびその周辺の製塩所が閉鎖されました。その理由はロレーヌ地方はドイツ帝国に併合されたからなんですよ。
ですが、当時ドイツは急ピッチで産業化を進めていたので「ロレーヌの塩は格好の資源だ!この塩を使わない手はない!!」とばかりに、大規模な塩産業の開発をし始めたんですよね。
そのお陰で我がロレーヌ地方の豊富な塩資源が活用され、今後のロレーヌ地方の経済発展に大きく貢献し、今日まで続く塩産業の礎を築きました。
と、簡単にロレーヌ岩塩の歴史をお伝えしましたが、次はそのロレーヌ岩塩の特徴と味、現地でのロレーヌ岩塩の使い方をお伝えしますね。
ロレーヌ岩塩の特徴と味、おススメの使い方
ロレーヌ岩塩の特徴は、天然の岩塩!ミネラルが豊富です。
そして、大きな特徴はこの2つ!!
★料理の味を邪魔しない
ミネラルは海塩であるゲランドなどの塩の方が多いですが、ロレーヌ岩塩の良さは癖のない味で刺激が少なく、どんな料理でも合うところです。
では、具体的にどんな料理に使うのか、お伝えしますね。
どんな料理に使う?
ロレーヌ岩塩は、サラサラとした食感で粒子が細かく、料理に振りかけやすい👌。
見た目の仕上がりも美しいので、 肉料理、魚料理、野菜料理と、どんな料理にもドンと来いなのですが、例えば以下の料理にGood👍です。
ステーキ : 赤身のステーキに振りかけると、肉の旨みが引き立ちます。
ミンチ肉: ハンバーグや肉団子などタネに混ぜ込むと、風味豊かに!
ローストビーフ: 焼きあがったローストビーフに、粗塩のように厚めに振りかけると、肉の旨みがギュっと凝縮!!
焼き魚: 白身魚や鮭など、どんな焼き魚にもよく合います。
ムニエル: ムニエルに振りかけると、魚本来の旨みが引き立ちます。
魚介類のパスタ: 海産物の旨みをさらに引き立て、風味豊かなパスタに仕上がります。
卵料理: 目玉焼き、オムレツに振りかけると、シンプルながらも風味豊かな一品に。
パ ン: パンに塗って食べると、風味豊かなトーストへ魅惑の変身!
パスタ: パスタを茹でる際の水に少し加えると、パスタの味がより奥深いものに。
お菓子:甘じょっぱいお菓子にも合います。キャラメル、マドレーヌは特に絶品ですよ。
そうそう!キッシュにもいいですよ。
私の地方の郷土料理の「キッシュロレーヌ」本場の本格レシピを書いているので参考にどうぞ👇
と、ロレーヌ岩塩のまろやかな風味とミネラルの豊富さは、様々な料理を引き立てます!
👇の森永の「塩キャラメル」の袋の後ろにも書いてありました。
アマゾンら楽天でも買えますよ👇箱入りの方が持ち運びに便利そう。
実は現地ロレーヌ人であるフランス人に、この塩キャラメルを食べてもらいましたが「美味しい!」とのこと(笑)。
あとは、簡単にこしょうやハーブなど、他の調味料と合わせて、オイルと混ぜてドレッシングにも👍より複雑で奥深い味わいになること間違えナシ!
ロレーヌ岩塩は粒子が細かいので、ステーキなどには粗塩を併用してみてください。より風味豊かに仕上がります。
最後にロレーヌ岩塩とその特徴についてまとめ
以上、ロレーヌ岩塩の歴史から主な所をピックアップしてお届けしました。
その裏側にはフランスの長い歴史の中で、絶対王政を確立するための基盤を築き上げた資産でもあった貴重な塩。
この血生臭い歴史と裏腹に、美しい真っ白な出で立ち。そのまろやかな風味とミネラルの豊富さから、幅広い料理に使える万能な天然塩でありました👍。
ミネラル重視ならゲランドの塩、くせのない味がお好みであればロレーヌ岩塩と、料理によって使い分けると、色々な発見があって楽しさが広がります。
ロレーヌ岩塩は、なかなか使える万能な調味料です。ぜひ、あなたの料理に取り入れて、その美味しさを体験してみてくださいね!
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