フランスの代表的な料理にガレットとクレープがあります。その違いをご存知でしょうか?
え?ソバ粉を使っているのがガレットで、小麦粉を使うのがクレ-プでしょ?とお思いのあなた!
実は、本場ブルタ-ニュ地方の歴史からひも解いていくと、そうではなかったのです。
併せて、フランスでは「クレ-プの日」として親しまれている2月の祭り「Chandeleur シャンドゥルール(シャンドゥ—)」
Chandeleur では、どんなクレ-プを食べるのか、どんなことをするのか?
それを知っておくとクレープの楽しさが広がりますよ。
ぜひこの記事を通して、クレ-プの歴史と奥深さと、それぞれの味を楽しんでくださいね!
では、見ていきましょう!
ガレットとクレ-プは違うの、それとも同じ?
結論から申しますと、ガレットとクレ-プ、この2つは地域によって呼び名が違うだけ。
実は材料も同じでした。
ガレットはそば粉を使い、クレ-プは小麦粉を使うので名前が違うという解説が多いのも事実です。
ですが、もっと詳しく調べると一概にそうとも言えなく、クレ-プもそば粉を使うクレ-プもあります。
え?じゃあどうやって区別するの!?と思いますよね。
この違い知るに重要となる、ブルタ-ニュ地方の歴史を知る必要がありますが、その前にクレ-プの歴史について、先に少しご説明しますね!
クレ-プの歴史!元祖は本当にフランス!?
元々クレ-プはエジプト時代からある古い食べ物。
クレ-プの起源は紀元前7000年辺りだと言われており、穀物を粉にして水で溶いて作ったパン代わりの食べ物だったそうです。
フランスで作られたきっかっけは、13世紀にアジアの十字軍から持って帰ってきたソバの栽培で、それからブルタ-ニュでクレ-プが登場することとなりました。
13世紀初頭のClaudine Brécourt-Villars の本の中には”crispe”と書かれており、その1世紀後には、現在のフランス語の「crêpe クレップ」に変更。
”crispe”は、ラテン語の「crĭspus」からの由来で「カールした、波状の」という意味です。
たしかに良く見ると、クレープの端はちょっと波打ってますよね!
そんな古い食べ物のクレ-プですが、フランスではガレットやクレ-プといえば、ブルトン。そうブルタ-ニュ地方の代表的な料理として有名です。
ガレットもクレ-プも発祥はブルタ-ニュ地方。
では、呼び名がどうして違うかを、次にくわしくご説明しますね。
どうしてガレットとクレ-プは呼び名が違うの?
地域によって呼び名が違うガレットとクレ-プですが、その呼び名はブルタ-ニュ地方で分かれていました。
ブルタ-ニュ地方は昔、東西に大きく2つに分れており、VannesヴァンヌとSaint-Brieucサン=ブリユーを結ぶ線を境界にされていました。
西側がBasse-Bretagneバス=ブルターニュ。
東側がHaute-Bretagneオート=ブルターニュといいます。
都市名が書かれた地図で見ると、こんな感じです。
グレーがBasse-Bretagneで水色がHaute-Bretagne。
この分かれ目は言語的な理由によるものでしたが、はっきりしたと境界もなかったそうです。
西のBasse-Bretagneバス=ブルターニュは、ケルト語に属するブルトン語で、東のHaute-Bretagneオート=ブルターニュはロマンス語であるガロ語やオイル語が話されていました。
簡単に言うと言語が違ったので、同じ食べ物でも呼び名が違ったのです!
ではここで、そんなブルタ-ニュ地方の伝統的なクレ-プの作り方動画を紹介します。
まるでユニコーンの角⁉の様な、ブルタ-ニュ地方の伝統的な長い帽子を被ったマダムが出演しています。
なんとクレ-プの記事を手で混ぜて作っているとは!そんな豪快さも見どころです。
Haute-Bretagneオート=ブルターニュでは?
Haute-Bretagne オート=ブルターニュでGaletteガレットと呼ばれ、材料はそば粉、塩、水(卵も使う時も有り)を使っています。
色々なレシピがあるものの、一例を挙げますとこのような配分です。
・そば粉 500グラム
・粗い塩 15グラム
・水 1リットル
シェフ曰くグルテンが入っていないので、小麦粉の生地とは違い、焼くのが難しいと書かれていましたが、そうでした!
私はグルテンフリー生活をしているので、これなら食べられる!と思ってチャレンジしました。
ですが薄く焼こうにも、破れて散々…結局作った生地を全部使うことなく2,3枚焼いて、断念。
そんなこんなで作ることを諦め、食べたい時は市販のそば粉100%のガレットを、買うようになりました。
※そば粉100%じゃないガレットあるので、注意!
Basse-Bretagneバス=ブルターニュは?
一方、独自の文化が色づく地域、Basse-Bretagne バス=ブルターニュでは、クレ-プと呼ばれており、肝心な所はこのクレ-プも材料はそば粉ということです。
そう!どちらもそば粉を使っているのです。
ただ、オート=ブルターニュのガレットと作り方が若干違っており、バス=ブルターニュのクレ-プは、もっと薄くてカリカリにして焼きます。
配分例はこちら。
・そば粉 360 g
・牛乳 50
・水 25 cl
・卵 1個
・あら塩 1さじ(コーヒ-スプーン)
私はまだ実際に、本場のブルタ-ニュ地方へ行って食べた事がないので、なんとも言えません。
ですが、こちらのバス=ブルターニュのクレ-プは軽い触感のようですね。
La crêpe au fromentというクレ-プ
そして、もう一つあるのが、La crêpe au froment(もしくはfarine de blé)とは小麦粉のクレ-プ。
現在、一番ポピュラーで、甘いデザ-ト用に食べられる生地がこのクレ-プ!
もちろん、塩っぱい料理にも使われますが、やはり甘いお菓子としての方がよく食べられます。
配分例はこちら。
・小麦粉 300 g
・砂糖 50 g
・卵 4個
・牛乳60 cl
小麦粉で作られるため、作るのもシンプルかつ簡単。
このタイプは、オート=ブルターニュとバス=ブルターニュの両方の地域で作られるクレ-プでもあります。
以上の事をまとめますと、ガレットとクレ-プは地域により、このように呼ばれているということがわかりました。
・オート=ブルターニュでは、原料がそば粉のものはガレットと呼ぶ。
・バス=ブルターニュは、原料がそば粉でもクレ-プと呼ぶ。
そして小麦粉で出来ているクレ-プは、両地域で作られ、小麦粉のクレ-プと呼ばれていました。
う~ん、なんだかちょっと頭が混乱しそう…。
ブルタ-ニュ地方以外では、どう呼ばれている?
同じフランスに住んでいても、このような認識で呼んでいるか?というと、そんなことなく、凄くアバウトです。
私のフランス人(ですが、ロレーヌ人)の夫も、この違いを全く知りませんでした。
そして、昔はクレ-プは家で作るものでしたが、現在では市販で売られているが沢山あります。
特にコンフィチュ-ル(ジャム)やチョコレートペーストの甘いものを塗ったおやつ類が多く、販売されています。
そして「ガレット」と書かれているものでも、中にはそば粉100%ではないものもあり、クレ-プと言えば、大抵小麦粉で作られているものが多いです。
そば粉100%のものは、Galette de sarrasinもしくはGalette de de blé noirと書かれてあるので簡単に見分けがつきます。
そうでないものは、もう原料の部分を読んで判断するしかありません!
「Crêpe」と書かれていればクレープ、「Galette」と書かれていればガレットです!ってそのままですけど。
ガレットやクレ-プのメ-カ-により使う材料もさまざま。
大雑把に分けるとそば粉が含まれているものであれば「ガレット」、小麦粉100%のものは「クレ-プ」と判断していいでしょう。
よくお祭りの出店で出ているクレ-プは、おかずになる塩味ではなく、ヌテラやジャムを塗った甘いものが多いです。
番外編:クッキ-のガレットもあります
これはお菓子ですが、「Galette bretonne ガレットブルトンヌ」と言う塩味の利いた美味しいクッキ-があります。
ちなみにこの「Galette ガレット」という言葉には”丸くて平たい“という意味があるので、この円形の食べ物もガレットと呼びます。
このクッキ-も「Galette ガレット」と呼ばれており、厚さが2種類あり、薄いタイプと5㎜ほどの分厚いクッキ-がありますよ!
これはとっても美味しくてしかも安いので、常に常備しているクッキ-です。
バタ-のコクと、ほのかな塩味がたまりません。お土産にもおススメ!
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ほかには、米のガレットやトウモロコシのガレットというものもあります。
これも円形状のもので、カナッペの様にして食べる甘くないガレットです。
他にもバリエーションがあるので、ご紹介しますね。
実はバリエーションが豊富なクレ-プ
実は一言でクレ-プと言っても、バリエーションが豊富で、地方によって呼び名まで変わります。
例えば北部ではビール入りのクレ-プの「ratons ラトン」があり、二-スでは farine de pois chiche(ベサン粉、ひよこ豆粉)が入っている「socca ソッカ」というクレ-プもあります。
ほかには、フランス南東部のDauphinéドーフィネ(ドフィネ)辺りで作られるmatefaim(もしくはmatafan)というクレ-プもあるんですよね!
イギリスのクランペットや、メキシコのトルティーヤ、ロシアのブリニも同じく、クレ-プの仲間と言えるでしょう。
次は「クレ-プの日」として親しまれている2月の祭り「Chandeleur シャンドゥルール(シャンドゥ—)」について、ご紹介しますね!
フランスのクレ-プの日「Chandeleur シャンドゥルール」
クレ-プと言えば、忘れてはならない行事かあります。
フランスで通称「クレ-プの日」と呼ばれる、キリスト教の祝日「Chandeleur」という行事があります。
毎年クリスマスの40日後の2月2日に行われますが、これまた元祖は異教徒ロ-マ人の繁栄、作物の収穫)を祈るLupercales(リュペルキュス)祭りでした。
お察しの通り、異教徒とキリスト教のひと悶着があり、結局キリスト教の祝日になりました。
この「※Chandeleur シャンドゥ—」と言う単語は実は”クレ-プ”と全然関係ないんですよね。
※シャンドゥ—の方が、フランス語に近いです。
この祝日のまたの名を「fête des chandelles(ロウソク祭り)」という様に、ろうそくの日なのです。
なぜ、ロウソクの日になったかと言うと、この日は聖母マリアのpurificationこと、御清めの儀式の日でした。
その儀式にイエスがロウソクを灯した行列を呈示したことが所以で、ロウソクの日ともいわれるようになったのです。
なんでロウソクの日にクレ-プなのか?というところですが、色々な伝説があります。
結論から言うと、豊かな収穫=太陽のシンボル=クレープ。
共通するのが太陽に似ているクレ-プをたべることで、豊かな収穫を祈った説や、他にはゲラシウス1世ことロ-マ教皇がローマの巡礼者たちに、太陽のシンボルのクレ-プを振舞い、豊かな収穫を祈った話もありました。
異教徒の祭りが、キリスト教の祭りとすり替わったので、繋がりがあるんだか、ないんだかよくわかりません。
色々な文献を読んで見ましたが、やはり共通している所は、豊作祈願のため!
やはり食べ物は人間の生死に関わることなので、当時はとても重要な行事だったのでは…と思いを馳せました。
それにしても、クレ-プを太陽と見立てる所が、イマジネーション豊だと思いませんか?
こんなお祝いでしたら、喜んでお祝いしたくなりますよね。
クレ-プの日になにをするの?
この「Chandeleur」の日には、甘い小麦粉のクレ-プを食べます。
言い伝えでは、この最初のクレープ焼く時に右手で吹き飛ばし、金貨は左手で握るという神業をやってのけるの、コインの習慣もあるようです。
ですが私は、未だにしたことありません。
今日では、この日に近くなるとう、クレ-プを食べる!そんな感じです。
私も、あまり宗教や歴史背景を考えずに2月2日はおやつがクレ-プ!というベタな認識で10年以上過ごしていました。
ですが、現在はフランス人でも、ほぼそのような感覚で、週末に家族や友達とクレ-プを食べる!そんなワイワイした感じで、この「Chandeleur」の行事を楽しんでいます。
2月上旬にフランスにお越しの際は、是非美味しいクレ-プを召し上がってくださいネ!
現在では1月下旬からクレ-プ祭りの様に、クレ-プ用のフライパンやヌテラやジャムのキャンペーンを開催されています。
1月はガレットデロワ、2月はクレ-プ、3月は年によっては復活祭!?と、ダイエッターには辛いフランスの行事が続きますので、ご用心!!
参考文献:http://www.leptitbreton.com/histoire-crepe-bretonne/
https://www.ouest-france.fr/monde/chandeleur-mais-pourquoi-mange-des-crepes-aujourdhui-3161669
http://www.slate.fr/story/97483/vraie-recette-crepes-galettes
http://www.hellocoton.fr/to/2IwR#http://www.plurielles.fr/recettes-cuisine/fiche-pratique/crepe-et-galette-quelle-est-la-difference-4787425-402.html
https://fr.wikipedia.org/wiki/Chandeleur
最後にガレットとクレープの違いについて
ガレットとクレープは両方共丸くて薄い食べ物。
ただ、ガレットはちょっと色が濃くでなんかちょっと違うな、という認識の方も多かったのではないでしょうか?
ただ呼び名が違うだけだったんですね。
でも現在は、そば粉で出来た物が「ガレット」、小麦粉で出来た甘いお菓子が「クレープ」というざっくりした認識で呼んでいます。
クレ-プの日の2月2日付近には、お友達とおうちでクレ-プパーティを開いてみてくださいね!
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[…] 参考サイト [1]ガレットとクレープの違いはソバ粉じゃない?歴史から見た真実とは [2]フランスのクレープとガレット [3]The History of Crêpes [4]Why do we eat crepes with Candlemas? [5]Crêpes and history: T […]